ⓔコラム11-4-14 H. pylori除菌による胃癌抑制効果

 H. pylori除菌に伴う胃癌抑制効果に関しては多数の報告がある.Takeらは平均9.9年,最長17.4年にわたる除菌後消化性潰瘍群1222例の前向き観察にて胃発癌危険率は除菌成功群で年0.21%に対し,不成功群で年0.45%と有意に高率であった (p=0.049)1).また癌発見までの最長期間は成功群で14.5年と除菌10年以上でも発癌の危険性があることに注意すべきとしている.

 Leeらによる初発および異時性胃癌予防に関するメタ解析では,無症候症例の一次癌発生率0.62 (95%CI:0.49~0.79),内視鏡切除後異時性胃癌では0.46 (95%CI:0.35~0.60),全体では0.54 (95%CI:0.46~0.65) といずれも有意に除菌後の胃癌抑制を示している2)

 しかし地域により胃癌抑制効果にも差が認められる.Fordらは健常無症候の除菌群で有意に初発胃癌の抑制を認めているが,胃癌1人を予防するための除菌人数 (number needed to treat: NNT) は,胃癌高リスク地域である中国や日本の男性では15人程度,胃癌リスクの低い米国の女性では245.1人と,地域差を示している2).このため地域や状況に応じた除菌対策が必要である.

 世界のなかで東アジア地域,特に日本は最も胃癌罹患率が高い地域である.そのため日本ではH. pylori除菌は胃癌抑制に有効な手段と考えられ,しかもできるだけ早期に行われることが望まれる.

〔兒玉雅明・村上和成〕